OpenAIは2026年9月29日、イベント「DevDay 2026」で、ChatGPTの新しいAIエージェント「dots」を発表しました。AIエージェントとは、こちらが一つずつ指示しなくても、仕事を自分で進めるAIのことです。dotsは、こちらが話しかけていない時間も動き続けるところが、ChatGPTとのふだんの会話と違います。
この記事の事実の部分は、2026年10月5日時点でOpenAIが公開している公式ページ(発表文、ヘルプ記事、料金ページなど)だけをもとにまとめました。後半の、どの仕事から試すかは当社の考えです。当社はまだdotsを実際に操作していません。料金や提供範囲のうち公式に書かれていないことは、書かれていないと明記します。
dotsは、話しかけていない間も動くChatGPTのエージェント
公式の発表によると、dotsはGPT-6 Astraというモデルで動き、それぞれが自分用のクラウド上のコンピューターとブラウザを持ちます。4,000を超える外部のサービス(アプリ)につなげられ、ChatGPTのほか、SlackやTeamsからも話しかけられます。英語の発表文では、文の途中は小文字の「dots」で、1体を指すときは「dot」と書かれています。
公式のヘルプが挙げる使い方の例の一つは、毎朝カレンダーを見て、その日の予定を知らせるというものです。発表文には、試用者のdotがある媒体への請求書の出し忘れに気づき、請求書を用意して、本人の承認を得てから送ったという話も載っています。
頼まれていない時に、dotがつないだアプリを見て、役に立てることを自分から調べる作業もあります。OpenAIはこれを「proactive research」と呼んでいます。この作業で使える道具は読み取り専用に限られ、メッセージを送る、アプリの中身を変える、ブラウザやパソコンを操作する、といったことはできないと説明されています。こちらが頼んで予約した作業は、話しかけていない間も、ふだんと同じルールで動きます。
4,000を超えるアプリの一覧は、今回読んだ公式ページには載っていませんでした。会計ソフトや販売管理のソフトなど、国内のサービスにつながるかどうかは、公式発表では明記されていません。

使えるのはProとBusiness Premium、日本は国名の明記がない
2026年10月時点の提供条件を、公式のヘルプと料金ページからまとめると次のとおりです。
| 項目 | 公式ページからわかること |
|---|---|
| プラン | ProとBusiness Premium。Businessの標準の席で使えるとは書かれていない。Enterprise(EduとHealthcareを含む)は、管理者が有効にした場合にベータとして使える |
| 地域 | Proは欧州経済領域、スイス、英国を除く地域。Business PremiumはChatGPTのサポート地域すべて。順番に提供中で、アカウントに届くまで数日かかることがある |
| 日本 | 国名を挙げた記載はない。日本はChatGPTのサポート国の一覧にあり、日本語の料金ページのPro欄に「常時稼働のエージェント Dot」と書かれている |
| 料金 | 最初の1体はProとBusiness Premiumに追加料金なしで付く。2体目は今は追加できず、将来できるようになる予定(価格は未発表) |
| 作成 | デスクトップアプリか、パソコンのブラウザで作る。スマホでは作れず、スマホのブラウザにも対応していない。作った後は、スマホ対応が届いていればスマホのアプリから話しかけられる |
| 年齢 | 18歳未満は、今のところ使えない |
日本で使えるかどうかを、公式は国名で明言していません。ただ、Proで除外として書かれているのは欧州経済領域、スイス、英国だけで、Business PremiumはChatGPTのサポート地域すべてが対象です。日本はサポート国の一覧にあり、日本語の料金ページにも載っているので、対象と読めます。順番に提供しているため、契約してもすぐには出てこないことがあります。
日本語の料金ページでは、Proは利用枠を3段階から選べ、月額16,800円からです。Businessは1人あたり月額3,050円(年額課金、2名以上)で、月払いなら3,850円です。ただし、公式が対象として挙げるのはBusiness Premiumで、Businessの標準の席(3,050円)で使えるとは書かれていません。英語のヘルプでは、BusinessのPremium席が1人あたり月100ドル(年額課金)、月払いなら125ドルとされています。Business PremiumがBusinessのPremium席を指すと書いた公式の文は見つからず、円での価格も日本語の料金ページでは確かめられませんでした。発表文では、dotとの会話はChatGPTの利用上限に数えられず、CodexやChatGPT Workで動かす作業は数えられるとしています。これとは別に、リリースノートは、提供開始から1か月はdotsの利用を枠に数えず、その後の条件は改めて知らせるとしています。
どこまで任せるかは、行動ごとのルールで決める
dotには、共有する、買う、アクセスするといった一部の行動について、そのまま実行するか、人の承認を待つか、人に引き渡すかを決める設定があります。設定の名前は「Custom rules」で、スマホではdotの「Customize」の中から開きます。初期値は行動ごとに公式が決めてあり、ルールごとに次の4つの扱いから1つを選びます(日本語の説明は当社によるものです)。
- Take action without asking:承認を求めずに実行する
- Take action if pre-approved:プロンプトで明示的に頼んであれば、承認を求めずに実行する
- Ask before taking action:実行する前に承認を求める
- Hand off to you:人に引き渡す
どの扱いを選んでも、パスワードの変更と、金融口座の間の送金は本人が引き取ることになっています。保存済みのカードでの買い物はできますが、承認が要ります。データの完全な削除や、ソフトのインストールは、頼むたびに承認が要る場合があります。メールを送る前には、Auto-reviewという仕組みが宛先と本文を見て、宛先の間違いや、送るつもりのない情報を見つける手助けをします。
自分のパソコンにdotをつなぐかどうかは選べて、初期設定ではつながっていません。dotが何をしているかは、ChatGPTのデスクトップアプリのActivity Viewで、進行中の作業とその状況を見られます。
データの扱いと、公式が認めている限界
Business、Enterprise、Eduのプランでは、dotとのやり取りは初期設定でモデルの学習に使われません。個人で契約するプランでは、ChatGPTの設定にある「Improve the model for everyone」で決まり、そこで切れます。学習への利用を切っていても、安全に関わる場合などに限って、OpenAIの人が内容を見ることがあると書かれています。dotが覚えたことを一つずつ見たり消したりはできず、消したいときはdotごと削除します。ただし、dotを削除しても、ChatGPTのメモリに渡った情報や、dotが作ったファイルと会話は別に残ります。
公式は、dotsが間違えることがあると明記しています。取り消せない操作があることも書かれています。もう一つの注意点が、プロンプトインジェクションです。Webページやメールに紛れ込ませた指示に、AIが従ってしまう攻撃のことです。dotは、持ち主の指示と、作業中に読んだ内容を区別するように作られていると説明されています。ただし、この守りで危険をなくせるわけではないとも書かれています。
中小企業で使うなら、毎日決まった点検をする仕事から
ここからは当社の意見です。公式のカレンダーの例から考えると、dotsが合うのは、毎日決まった時刻に同じことを点検する仕事です。当社が考える例は、その日の予定の点検、請求書の出し忘れの点検、届いた問い合わせの見落としの点検です。人が忘れやすく、忘れると困る仕事です。
始めるなら、承認を挟む扱い(Ask before taking action)を多めにして入るのが無難だと考えています。メールの送信やデータの削除のように、取り消しにくい操作は、慣れるまで人が承認するほうが安全です。dotが何を点検し、何を提案してきたかを数週間見てから、承認を外す範囲を決めても遅くはありません。
契約の前に確かめておきたいのが、社内で使っているソフトにつながるかどうかです。つなぐ先は、ChatGPTと共通のPlugins(プラグイン)の設定で管理します。今のChatGPTのPlugins画面に自社のソフトが出てくるかを見ておくと目安になりますが、dotで使えるアプリは異なる場合があるとも書かれています。OpenAIが9月30日に出した米国の中小企業支援の窓口と組む発表では、ChatGPT WorkとCodexが紹介されていて、dotsには触れていません。これとは別に、当社の考えとしては、ChatGPT WorkやCodexで足りるかを先に試し、足りない部分が見えてからdotsを検討する順番でも十分です。
OpenAIは、役割を決めた組織向けのdotを、企業向けの試験導入から始めるとしています。MicrosoftのAgent 365とつなぐ計画も示されていますが、中小企業がすぐ使える形ではなさそうです。
dotsは、OpenAIが用意した仕組みの中で動くエージェントで、Custom rulesで決められるのは一部の行動の扱いです。自社の手順や社内の決まりそのものに合わせて動きを作り込みたい場合は、エージェントを個別に作る方法もあります。当社が作るときに、どこまでをAIに任せ、どこからを人が持つかをどう決めているかは、AIエージェントに任せてよい仕事と、人が持つべき仕事に書きました。
出典(2026年10月5日に確認)
- OpenAI「Introducing dots」(2026年9月29日)
- OpenAI「DevDay 2026 Recap」
- OpenAI Help Center「Getting started with your dot」
- OpenAI Help Center「Dots privacy, security, and safety FAQs」
- OpenAI「How we build safety, security, and privacy into dots」
- OpenAI「Helping small businesses put AI to work」(2026年9月30日)
- ChatGPT 料金ページ(日本語・個人向け)/同(Business向け)
- OpenAI Help Center「ChatGPT supported countries」
- OpenAI Help Center「ChatGPT Business - Overview」



