AIに「先月の売上を見て」と頼んでも、そのままでは答えられません。AIは自分の外にあるものを、勝手には見られないからです。この「外のサービスに手を伸ばす」ための共通の決まりごとがMCP(Model Context Protocol)です。この記事では、MCPで何ができるようになるのか、当社が実際に何を繋いでいるのか、そして自社システムに繋ぐときの注意点を整理します。
MCPとは——たとえるならUSB-C
少し前まで、AIを外のサービスに繋ぐには、サービスごとに専用のつなぎ込みを作る必要がありました。会計ソフト用、カレンダー用、データベース用……と、組み合わせの数だけ作業が発生していたわけです。
MCPは、そこに共通の差し込み口を決めました。パソコンの周辺機器がUSB-Cで統一されたのと同じ発想です。サービス側がMCPに対応した口を1つ用意すれば、対応しているAIならどれでも繋がります。
何ができるようになるのか
いちばん大きな変化は、AIが「読む」だけでなく「操作できる」ようになることです。
- 「先週の問い合わせを一覧にして」と頼めば、メールを実際に検索して集めてきます
- 「来週の予定が空いている日を教えて」と頼めば、カレンダーを実際に見にいきます
- 「この商品の在庫を確認して」と頼めば、データベースに実際に問い合わせます
- 「サイトの表示が崩れていないか見て」と頼めば、ブラウザを実際に開いて確認します
これまでは「AIに聞いて、その答えをもとに自分でシステムを開く」という二度手間でしたが、一度で済むようになります。
当社が実際に繋いでいるもの(2026年9月8日時点)
参考までに、当社の1台に設定しているものを挙げます。実測で20件、そのうち18件が接続済みでした(残り2件は認証が切れて未接続)。以下は、そのうち主なものです。
- 会計:freee(日本のサービスとして公式に対応しています)
- Google Workspace:Gmail・カレンダー・ドライブ
- サイトの数字:Google Search Console・Googleアナリティクス
- EC:Shopify
- データベース:Supabase
- サイトの公開:Vercel
- デザイン:Figma・Adobe
- ブラウザ操作:Playwright・Chrome DevTools
- チャット:Discord・Telegram(外出先から指示を出して結果を受け取る)
- メモ:Obsidian
日本の業務ソフトでも対応は広がっています。会計のfreeeは当社で実際に繋いでいますし、チャットツール向けのものも公開されていて、当社の研修で扱ったことがあります。対応状況は各サービスの公式情報でご確認ください。
自社のシステムにも繋げます
ここが中小企業にとって本命かもしれません。MCPは自分たちで作れます。社内の在庫データベース、独自の基幹システム、Excelで管理している顧客台帳——これらに口を1つ用意すれば、AIから読めるようになります。
作るものは、そう大きくありません。「この操作を、この引数で呼べます」という説明と、実際の処理。既存システムに手を入れず、外側に小さな口を足す形で足りることがほとんどです。
繋ぐ前に決めておくこと
ここは慎重にお願いします。繋ぐということは、AIがそのサービスを操作できるようになるということです。
- 読み取り専用から始める。いきなり書き込みや削除ができる権限を渡さない
- 権限は最小に。「全社の会計データ」ではなく「必要な範囲だけ」。サービス側で絞れることが多いです
- 認証情報の置き場所を決める。鍵をやりとりの本文に貼らない。設定ファイルで管理し、担当者を決める
- 操作の記録が残るようにする。誰の指示で何が実行されたかを追えるようにしておく
とくに1番は大事です。当社でも、外部に繋ぐものは読み取りから始めて、運用が固まってから書き込みを許す順番にしています。
まとめ
- MCP=AIと外部サービスをつなぐ共通の差し込み口。USB-Cのような役割
- AIが「読む」だけでなく「操作できる」ようになる
- 会計・カレンダー・EC・データベース・ブラウザなど、対応は広がっている
- 自社の在庫や基幹システムにも、外側に小さな口を足す形で繋げる
- 繋ぐ前に、読み取り専用・最小権限・鍵の管理・記録の4点を決めておく
「うちの基幹システムに繋ぐと、何が楽になるのか」は業種で大きく変わります。大分県内の企業さま向けに、繋ぐ範囲の切り分けから、権限設計・運用ルールづくりまで一緒に進めています。詳しくはAI導入・DX支援のページをご覧ください。
参考・出典
※接続構成は2026年9月8日時点の当社環境での実測です。各サービスの対応状況は変わることがあります。



