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会社のデータのバックアップ|何を、どこへ、どの頻度で。戻せるかの確認まで

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会社のデータのバックアップ|何を、どこへ、どの頻度で。戻せるかの確認まで
この記事の要点

中小企業のバックアップは、まず失うと仕事が止まるデータを一覧にし、次に置き場所を分ける。IPAの解説書が紹介する3-2-1ルールは、元データを含めて3つ持ち、2種類の媒体に分け、1つは別の場所に置く考え方である。頻度はデータが変わる速さと、誤削除に気づくまでの日数から決め、複数世代を残す。クラウドの同期は消した操作も同期されるので単独ではバックアップにならない。ランサムウェアはバックアップも暗号化するため、ふだんはネットワークから切り離した控えを持ち、戻せるかを定期的に試しておく。

パソコンが突然起動しなくなった。共有フォルダの大事なExcelを誰かが上書きしてしまった。画面に脅迫文が出て、ファイルが全部開かなくなった。どれも、会社の規模に関係なく起こります。その日に「バックアップはあります」と言えるかどうかで、翌日から仕事を続けられるかが決まります。

バックアップという言葉は知っていても、何を、どこに、どのくらいの間隔で取ればいいのかは、意外と決まっていないものです。順番に見ていきます。

なくなると困るデータの一覧

最初にやるのは、会社のデータがどこにあるかを書き出すことです。バックアップの失敗で多いのは、取っていたけれど肝心のデータが入っていなかった、というものです。

書き出す時は、置き場所ごとに見ていくと漏れが減ります。

置き場所よくあるデータ見落としやすい点
事務所のパソコン見積書、請求書のExcel、デスクトップの書類個人のデスクトップやダウンロードの中
共有フォルダやNAS顧客台帳、図面、写真古い共有フォルダが別に残っている
クラウドのサービス会計、予約、メール、ドライブサービスの中にしかないデータ
スマホ現場の写真、LINEのやり取り私物のスマホに仕事の写真がある

表の右端が大事です。会計ソフトや予約システムのようなクラウドのサービスは、サービス側でデータを守っています。ただ、サービスの解約や、誰かが操作を誤って消した時にまで戻してくれるとは限りません。定期的にCSVなどで書き出せるかを、管理画面で一度確かめておくと安心です。

一覧ができたら、それぞれに「なくなったら何日で仕事が止まるか」を書き添えます。顧客台帳と請求の記録は、たいてい当日から困ります。ここから先の置き場所や頻度は、この一覧をもとに決めます。

置き場所は3-2-1で考える

置き場所の考え方として定番なのが3-2-1ルールです。IPAの情報セキュリティ10大脅威 2026 解説書(組織編)は、米国のCISAの資料を引いて、次のように紹介しています。

データはコピーして 2 つ持ち(稼働システムと合わせて計 3 つのデータを保持)、それらのコピーは 2 種類のメディアでバックアップを保管し、そのうち 1 つは稼働システムとは異なる、別拠点等で保存する。

小さな会社に置き換えると、たとえば、ふだん使うパソコンのデータ、事務所の外付けハードディスクの控え、クラウドのバックアップサービスの控え、の3つです。外付けとクラウドで媒体が2種類になり、クラウドが事務所の外という条件も満たします。

同じ解説書には、3-2-1に、書き換えのできない控えかネットワークから切り離した控えを1つ足し、定期的な確認でエラーのない状態を保つ、3-2-1-1-0という考え方も載っています。いきなりここまで揃えなくても構いません。まず控えが1つもない状態をなくすことが先です。

頻度と、残しておく世代

頻度は、データが変わる速さで決めます。毎日入力する販売の台帳は毎日、月に数回しか触らない規程類は週1回、といった具合です。一覧に書いた「何日で仕事が止まるか」も目安になります。

見落としやすいのが世代です。最新の控えを1つだけ持つ方法だと、上書きした失敗に3日後に気づいた時、控えもすでに失敗した後の状態になっています。IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版でも、複数のタイミングの控えを残す世代管理が、直近4日分を残す例とともに紹介されています。

誤りに気づくまでの日数は会社によって違います。月末の締めで初めて開くファイルがあるなら、1か月以上前の世代まで残しておきたいところです。

もう一つ決めておきたいのが、誰が取るかです。人が手でコピーする方法は、忙しい月にまず止まります。Windowsのファイル履歴やMacのTime Machine、NASやクラウドのバックアップ機能のように、決まった時刻に自動で取る仕組みがあるなら、そちらに任せたほうが続きます。

自動にした場合も、放っておいてよいわけではありません。容量がいっぱいになった、パスワードを変えたら接続が切れた、といった理由で、ある日から黙って止まっていることがあります。月に1回、最後に取れた日付を見る担当者を決めておくと、止まったまま半年、という事態は防げます。

クラウドに置いてあれば安心か

GoogleドライブやOneDriveに入れているから大丈夫、という話をよく聞きます。半分は正しくて、パソコンが壊れてもファイルは残ります。

ただ、パソコンとクラウドを同期している場合、同期は消した操作もそのまま反映します。パソコンでフォルダを消せばクラウドからも消え、ランサムウェアに暗号化されたファイルも、暗号化された状態で同期されます。

多くのサービスにはゴミ箱や版の履歴があり、ある程度までは戻せます。ただし何日まで戻せるかはサービスとプランで違います。自社が使っているサービスの管理画面かヘルプで、何日前まで戻せるのかを一度確かめてください。それより前に戻したい可能性があるなら、別の場所に控えが要ります。

ランサムウェアはバックアップも狙う

ランサムウェアは、ファイルを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりに金銭を求める攻撃です。警察庁の令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等についてによると、令和7年の被害報告は226件で、被害企業のうち中小企業が約6割を占めていました。

同じ資料は、攻撃者が侵入後にネットワークの中でバックアップを探し、復旧を妨害するため、バックアップも一緒に暗号化される場合が多いと書いています。つなぎっぱなしの外付けハードディスクや、同じネットワークにあるNASは、パソコンと一緒に暗号化されることがある、ということです。

対策はシンプルで、ふだんはネットワークから切り離した控えを1つ持つことです。IPAの中小企業向けガイドラインも、バックアップに使う装置や媒体は、バックアップの時だけパソコンとつなぐよう勧めています。外付けハードディスクなら、取り終わったら外して引き出しにしまう。手間はかかりますが、確実に効きます。

中央のパソコンから三方向に線が伸び、事務所の外付けディスク、遠くの雲の形、引き出しにしまわれたケーブルを外したディスクにつながっている。上から降りてくる錠前の影は、線でつながった二つにだけ落ち、引き出しの中のディスクには届いていない。
3つの置き場所のうち、ケーブルを外した1つは暗号化の被害から外れる

戻せるかを試しておく

バックアップは、戻せて初めて役に立ちます。IPAのガイドラインの対策例にも、バックアップしたデータを戻せるか定期的に確認する、という項目があります。

試し方は難しくありません。控えの中からファイルを1つ選び、別のフォルダに戻して、開けるかどうかを確かめます。慣れてきたら、フォルダ1つ分、パソコン1台分と範囲を広げます。

クラウドのサービスから書き出したCSVも、一度は実際に開いてみてください。文字化けしている、必要な列が入っていない、添付ファイルは書き出しに含まれない、といったことは、開いて初めて分かります。書き出せることと、そのデータで仕事を再開できることは別の話です。

その時に、かかった時間と手順と、誰がやったかをメモに残してください。パソコン1台分を戻すのに半日かかると分かれば、その間どう仕事を回すかも考えられます。手順を知っている人が1人しかいないなら、2人目に一度やってもらうのも大事な確認です。

年に1回でも、実際に戻してみた会社と、取っているだけの会社では、困った日の動きがまるで違います。

まずは今週、控えの中からファイルを1つだけ戻してみてください。データの置き場所の整理から一緒に考えたい場合は、DX推進・伴走支援で相談を受けています。

よくある質問

GoogleドライブやOneDriveに保存していればバックアップは要りませんか。
同期だけでは足りません。同期は消した操作や暗号化された状態もそのまま反映します。ゴミ箱や版の履歴には保持期間があり、サービスとプランで違うので、別の場所に控えを持つか、履歴で何日前まで戻せるかを確かめておきます。
バックアップはどのくらいの頻度で取ればいいですか。
データが変わる速さで決めます。毎日入力する台帳は毎日、あまり変わらない書類は週1回などです。誤って消したことに数日後に気づくこともあるので、最新の1つだけでなく何日分かの世代を残してください。
外付けハードディスクはつなぎっぱなしでもいいですか。
ランサムウェアへの備えとしては、取る時だけつないで終わったら外すほうが安全です。IPAの中小企業向けガイドラインも、バックアップに使う装置や媒体はバックアップの時だけパソコンとつなぐよう勧めています。
戻せるかの確認は何をすればいいですか。
実際にファイルを1つ選んで、バックアップから別の場所に戻し、開けるかを確かめます。かかった時間と手順、誰がやったかを記録しておくと、本当に困った日にその通りに動けます。

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芦刈庸介のプロフィール画像
この記事の担当芦刈庸介代表取締役 / エンジニア

大分県出身。フリーランスを経て2026年に株式会社NewBeginningsを設立。Web制作・アプリ開発・DX支援を通じて、地域の中小企業のデジタル化を伴走支援しています。「ITやDXは難しい」を「IT・DX・AIで楽になった」に変えることがミッション。

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