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実店舗とネットショップの在庫をまとめて管理する|売り越しを防ぐ決め方

この記事の要点

実店舗とネットショップで同じ商品を売ると、片方で売れた数がもう片方の在庫に反映されるまでの間に、在庫の無い商品の注文を受ける売り越しが起きる。防ぐには、在庫の数を持つ場所を1つに決め、店頭の販売、ネットの注文、取り置き、返品のすべてをそこへ記録する。POSとネットショップを連携させる場合は、在庫が反映されるまでの間隔と、どちらの数を正しいとするかを確かめる。残りが少ない商品はネット側に出す数を少し減らしておくと、反映の遅れがあっても売り越しを避けやすい。

たとえば、店頭で最後の1個が売れた10分後に、ネットショップに同じ商品の注文が入ったとします。在庫の数を直す前なら、ネットショップの画面ではまだ1個残っているので、注文はそのまま通ります。

実店舗とネットショップの両方で同じ商品を売っていると、こういうことが起こりえます。在庫の無い商品の注文を受けてしまう、いわゆる売り越しです。お客様におわびの連絡をして、キャンセルか入荷待ちかを選んでもらう。1回ならまだしも、続けばショップの評価に響きます。

原因の多くは、数の持ち方にあります。仕組みを入れる前に、まずそこを見直します。ここからは、売り越しが起きる流れから、在庫の数をどう持つか、取り置きや予約、棚卸し、POSレジ(売上と在庫を記録するレジ)との連携まで、順に考えていきます。

売り越しが起きる流れ

売り越しの元は、2つの場所で売っているのに、在庫の数が2つの場所に別々にあることです。

よくあるのは、店頭の販売はレジに記録し、ネットショップの在庫は管理画面で手で直している形です。店頭で売れたら、閉店後にまとめてネットの在庫を減らす。この運用だと、開店から閉店までの間は、ネットショップの数が実際より多いままになります。売れ筋ほど、この時間差に注文が入る確率が上がります。

逆向きもあります。ネットで注文が入った商品を、発送のために棚から出すまでの間に、店頭のお客様が同じ品をレジに持ってくる。レジの側は在庫のことを知らないので、そのまま売ってしまいます。

もう一つ見落としやすいのが、数に表れない動きです。取り置き、店内での破損、撮影用に出した見本、返品された品を棚に戻したかどうか。どれも売上ではないので、レジにもネットにも記録されず、帳簿の数と棚の数が少しずつ離れていきます。

それでも売り越しが起きてしまったら、気づいた時点ですぐにお客様へ連絡します。在庫が無かったことをおわびし、入荷の見込みがあるなら待っていただけるか、無いならキャンセルの手続きを案内します。代金を先に受け取っていた注文は、すぐに返金します。前払いの通販で申込みを承諾しないときは、受け取ったお金をすぐに返すことと、その方法を明らかにするよう、消費者庁の特定商取引法ガイドの前払式通信販売の項にも書かれています。連絡が遅れるほど、お客様は届くつもりで待ってしまうので、発送の目安の日を過ぎてから知らせる形だけは避けたいところです。起きた商品と時刻、原因の見当を控えておくと、後で記録の決まりを見直すときの材料になります。

在庫の数を1か所で持つ

数を持つ場所は1つにします。店頭の販売もネットの注文も、取り置きも返品も、すべてそこへ記録します。

1か所にする場所は、POSでも、ネットショップの管理画面でも、在庫管理のサービスでも構いません。大事なのは、どれが正しい数なのかを全員が同じように答えられることです。スタッフによって「レジの数が正しい」「いや、ネットの管理画面が正しい」と答えが分かれる状態では、どこかで必ずずれます。

店とネットで在庫を最初から分けて持つ方法もあります。たとえば10個のうち7個を店、3個をネットに割り当てる形です。売り越しは起きにくくなりますが、店では売れ残っているのにネットでは品切れ、という状態が出ます。数が多く回転の速い商品なら、1か所で持つほうが売り逃しは少ないはずです。

1か所で持つ場合でも、残りが少ない商品には安全のための余白を取っておくと安心です。たとえば残り2個になったらネットでは注文を止める、という決め方です。反映の遅れがあっても、この余白の分だけは売り越しを避けられます。目的は売り越しを防ぐことで、お客様を急がせることではありません。ネット側の表示も「売り切れ」とするより、「店頭在庫のみ」「在庫はお問い合わせください」のように、店にはまだあることが分かる出し方にしておくと、実際と違う印象を与えずに済みます。余白を何個にするかは、商品の売れる速さと、数を直すまでにかかる時間で決めます。1日に何個も売れる商品で、ネットの在庫を直すのが閉店後になる店なら、余白は大きめに取ります。めったに売れない一点物なら、余白は取らずに、売れたらすぐ表示を切り替えます。商品ごとに変えてかまいません。

最初から正解の数を当てる必要はなく、売り越しが起きたら増やし、売り逃しが目立てば減らしていけば十分です。

中央に積まれた箱の山があり、左の店舗の形と右のスマートフォンの形、下の小さな手提げ袋と上の戻ってくる箱の形から、それぞれ矢印が中央の山に向かって集まっている図解風のイラスト
店頭とネットの動きを、1つの在庫の数に集めて記録する

取り置きと予約の数え方

取り置きは、売れたわけではないのに、他のお客様には売れない在庫です。これを在庫の数に入れたままにしておくと、ネットショップでは買える表示のまま残ります。

受けたら、その時点で在庫から外す。これを決まりにします。POSやネットショップによっては、取り置きや引当て(注文や予約のために在庫を押さえておくこと)の状態を持てるものもあります。無ければ、在庫の数を1つ減らし、取り置きの台帳に名前と期限を書いておき、期限が来たら戻す、という手作業で対応します。期限を決めずに受けた取り置きは、いつまでも在庫を押さえ続けることになるので、受けるときにいつまで置いておけるかを伝えておきます。

予約も同じです。予約で受けた数は、入荷した時点でその分を差し引いた数を在庫として出します。入荷した数をそのままネットに出すと、予約のお客様に渡す分まで売ってしまいます。店頭とネットの両方で予約を受けている場合は、両方の予約を同じ台帳に集めておきます。分かれていると、入荷した日にどちらの分がいくつ残るのかを数え直すところから始めることになります。その間にネットの注文が入れば、どちらの分から引くかでも迷います。

棚卸しの頻度

帳簿と棚の数は、気をつけていてもずれるので、棚卸しで数え直して合わせます。

全品を数えるのは手間がかかるので、決算で期末の在庫を確かめる時期に合わせて、年に1回か2回行う店が多いと思います。それとは別に、売れ筋の商品や、ネットでよく売れる商品だけを、週に1回や月に1回、数える方法もあります。対象を絞れば短い時間で終わりますし、売り越しが起きやすい商品のずれを早く見つけられます。

ずれていたら、数を直すのと一緒に原因の見当もつけておきます。取り置きの戻し忘れなのか、返品の記録漏れなのか、レジの打ち間違いなのか。同じ原因が続くなら、記録の決まりのほうを直します。

POSとネットショップの連携

POSとネットショップを連携させると、店頭で売れた数が自動でネットの在庫に反映され、ネットで売れた数もPOSに反映されます。手で直す手間と時間差は大きく減ります。

ただし、確かめることが2つあります。

1つ目は反映の間隔。売れた瞬間に反映されるものもあれば、一定の間隔でまとめて反映されるものもあります。間隔があるなら、その間に売り越しが起きる余地が残ります。先ほどの余白の考え方は、連携していても役に立ちます。

2つ目は、どちらの数を正しい数とするかです。連携の設定によっては、片方の数でもう片方を上書きする動きをすることがあります。棚卸しで直した数をどちらに入れればよいのか、連携を入れる前に確かめておかないと、せっかく直した数が上書きで戻ることもあります。

売る場所がさらに増える場合も考え方は同じです。自社のネットショップに加えてモールにも出店しているなら、在庫の数を持つ1か所から、自社のショップとモールと店頭の3つへ数を配る形にします。そうしないと、ずれる場所が増え、手で直す作業も売る場所が増えるたびに重くなっていきます。

使っているPOSとネットショップの組み合わせで連携できるか、追加の料金がかかるかは、それぞれの公式のページで確かめてください。組み合わせによっては連携の手段が用意されておらず、片方を乗り換えるか、仕組みを作るかを考えることになります。

連携の前に決めておくこと

仕組みを入れても、取り置きや返品を記録するのは人です。連携の前に、次のことをスタッフと一緒に決めて、紙1枚にまとめておくと運用が安定します。

  • 在庫の正しい数はどこで見るか
  • 取り置きと予約を受けたら、誰が、どこに、いつ記録するか
  • 返品や破損の品を、在庫に戻すのか外すのか
  • 残りが何個になったらネットでの注文を止め、どう表示するか
  • 売れ筋の棚卸しを、いつ、誰がするか

ここまで決まっていれば、どの仕組みを選んでも大きくは外しません。POSとネットショップの連携が今の組み合わせで難しい場合や、在庫の記録を自社の業務に合わせたい場合は、ECサイト制作やアプリ・システム開発のページもあわせて見てみてください。

よくある質問

売り越しはなぜ起きるのですか。
店頭で売れた数がネットショップの在庫に反映されるまでに時間差があるためです。手で数を直している店では、直すまでの間に同じ商品の注文が入ると、在庫の無い商品を売ったことになります。
在庫は店とネットで分けて持つほうが安全ですか。
分ければ売り越しは起きにくくなりますが、店では余っているのにネットでは品切れ、という機会損失が出ます。数を1か所で持ち、残りが少ない商品だけネットに出す数を少し減らす方法もあります。
POSとネットショップを連携させれば解決しますか。
手で直す手間と時間差は大きく減りますが、反映の間隔や、取り置き・返品の記録の仕方によっては数がずれます。連携の前に、どちらの数を正しい数とするかと、誰がどの操作をどちらに記録するかを決めておきます。

この記事を書いた人

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芦刈 庸介

株式会社NewBeginnings 代表取締役

大分県出身。フリーランスを経て、2026年3月1日に株式会社NewBeginningsを設立。ホームページ制作、アプリ・業務システム開発、DX推進・伴走支援を、代表みずから手を動かして行っています。

芦刈 庸介の X(旧Twitter)

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