ホームページの制作が、途中で何週間も止まることがあります。制作会社は返事を待っていて、依頼した側は向こうが進めていると思っている。止まった原因をたどると、依頼した側が出すはずの原稿や写真が、まだ誰の手元にも無い。そういう止まり方です。
制作の途中で依頼する側が出すものは、思ったより多くあります。ここでは、依頼の前にそろえておく原稿と写真、細かな素材を並べて、それぞれを社内の誰がいつまでに出すかの決め方を書きます。
制作が止まる場所
ホームページ制作は、おおまかに「構成を決める」「原稿と写真を集める」「デザイン」「組み込み(デザインをページとして組み立てる作業)」「確認」「公開」の順に進みます。このうち制作会社だけでは進められないのが、原稿と写真を集める段階と、確認の段階です。
原稿と写真は、会社の中にしか答えがありません。何年に創業したか、仕事をどんな順番で受けるか、代表の写真はどれを使うか。制作会社は質問はできても、決められません。確認も同じで、この表現で世に出してよいかを判断できるのは依頼した会社だけです。
止まりやすいのは、この二つの段階に社内の担当者がいない時です。社長が窓口になり、原稿は現場のほうが詳しいからと誰かに頼んだつもりでいる。頼まれた側は、通常の仕事の合間に書けばいいと思っている。締め切りは誰も口にしていない。こうして、気づけばひと月が過ぎています。
ここで効くのが、社内に1人置くホームページの窓口です。制作会社からの質問を受け、社内の誰に聞けばよいかを振り分け、期限が近い素材を催促する役です。窓口がいれば、制作会社の質問が社長の受信箱で眠ることがなくなります。
原稿を書く人と決める人
原稿で先に決めたいのは、書く人と、最後に「これで出す」と決める人です。同じ人でもかまいません。ただ、決める人が途中の原稿を少しずつ見て直しを入れると、書き直しが何度も続きます。決める人は最後に一度まとめて見る、と先に決めておけば、書く人は途中で顔色をうかがわずに材料を出すことに集中できます。
制作会社によっては、聞き取りをして文章にするところまで引き受けるプランがあります。その場合も、事業の中身や数字は会社から出す必要があります。自分たちで書くなら、最初から整った文章を目指さないほうが早く終わります。箇条書きのメモでも、制作側で文章に直せます。
ページごとに要る原稿は、たとえば次のようなものです。
- 会社概要:正式な社名、所在地、設立年、代表者名、事業内容、許認可や登録の番号
- サービス:何を、誰に、どんな流れで、どこまで対応するか
- 代表あいさつ:この仕事を始めた理由と、どんなお客様に来てほしいか
- よくある質問:電話でよく聞かれることを、聞かれた言い方のまま
- 採用:仕事の中身、働く時間、応募の方法
よくある質問の材料は、電話を受けている人に聞くのがいちばん早いです。1週間ほど電話のそばにメモ用紙を置き、聞かれたことを書き留めてもらうだけで、かなりの数が集まります。
書いた原稿は、Word でもメールの本文でもかまいません。ただ、ページごとに1つのファイルにまとめ、ファイル名にページ名と日付を入れて共有フォルダに置いておくと、どれが最新かで迷わずに済みます。
会社概要の名称や数字は、登記の内容や許可証と照らし合わせてから出してください。公開後に誤りに気づけば直せますが、直すまでの間に見た人には間違った情報が届いています。
写真の撮り方と、使えない写真
写真は原稿より後回しにされがちです。デザイン案が出てきて、写真の枠が灰色のまま並んでいるのを見て、はじめて慌てる。これを避けるには、構成が決まった時点で、どのページにどんな写真が何枚要るかを制作会社に一覧にしてもらうのが確実です。
撮る写真の候補は、外観と入口、仕事をしている様子、使っている道具や設備、スタッフです。プロのカメラマンに頼むか社内のスマートフォンで撮るかは、予算で決めてかまいません。スマートフォンで撮るなら、横向きで、明るい時間に撮ります。同じ場所から少しずつ角度を変えて数枚撮っておくと、後で一番よいものを選べます。これだけで、使える写真がずいぶん増えます。
撮った写真は、縮めずに元の大きさのまま、共有フォルダに入れるかメールに添付して渡してください。枚数は多すぎるくらいでちょうどいい。選ぶのは後からでもできます。
有料や無料の写真素材サイトから借りる方法もあります。使う前に、そのサイトの利用規約でホームページへの掲載が認められているかを確かめ、どのサイトのどの写真かを制作会社に伝えてください。
使えないのは、インターネットで検索して見つけた写真、他社のパンフレットや看板の写真、誰が撮ったか分からない古い写真です。社員が写っている写真は、本人に掲載してよいかを聞いてから出します。社員が写った写真は、その人が辞めた時に差し替えを頼まれることがあります。トップページのように差し替えにくい場所は、人が主役でない写真にしておくと後が楽です。

忘れやすい細かな素材
原稿と写真のほかにも、制作の途中で聞かれる素材があります。どれも小さなものですが、探すのに時間がかかるものが混じっています。
- ロゴのデータ(できれば作った時の元データ。無ければ、名刺や看板を作った業者に問い合わせる)
- 会社の色や書体に決まりがあれば、その資料
- 住所の正式な表記と、駐車場の有無
- 営業時間、定休日、電話を受けられる時間
- 問い合わせを受け取るメールアドレス
- SNS や Googleビジネスプロフィールのアドレス
- すでに持っているドメインの管理画面に入るための情報
いちばん時間がかかりやすいのは、最後のドメインの情報です。前に頼んだ業者や、辞めた社員しかログインの方法を知らない、ということが起こります。ここは早めに探し始めてください。ドメインとサーバーの違いから確かめたい場合はドメインとサーバーの記事が参考になります。
素材ごとの分担表
素材がそろったら、誰がいつまでに出すかを1枚の表にします。形は自由ですが、たとえば次のような表です。
| 素材 | 出す人(実際の表には個人名) | 期限の置き方 |
|---|---|---|
| 会社概要と許認可 | 総務の担当者 | 構成が決まった週のうち |
| サービスの原稿 | 各サービスの現場責任者 | デザイン案が出る前 |
| 代表あいさつ | 社長 | デザイン案が出る前 |
| 写真 | 撮影の担当者 | 写真の一覧をもらってから、デザイン案が出る前 |
| ロゴとドメインの情報 | 窓口の担当者 | 最初の打ち合わせの翌週 |
上の表は役割で書いていますが、実際に作る表では、出す人を部署名や役割でなく個人の名前で書きます。「営業部」と書くと、営業部の誰も自分のことだと思いません。期限は、制作会社に全体のスケジュールを出してもらい、それを見ながら自社で逆算して書き込みます。
もう一つ、確認する人と確認にかける日数も表の下に書いておきます。原稿が出そろっても、社長の確認が2週間戻らなければ同じように止まります。確認の時に必ず見る場所も決めておくと、見落としが減ります。電話番号、住所、営業時間、会社名の表記の四つは、間違っていると見た人がそのまま行動してしまう情報です。
そろわない時の進め方
全部の素材がそろうまで待つ必要はありません。仮の原稿や仮の写真を入れて先に進め、公開前に差し替える進め方ができます。ただし、仮のまま公開されてしまう危険があります。仮のものには目印をつけ、公開前にその一覧を見ながら全部が差し替わったかを確かめてください。
採用のページやよくある質問のように、公開後に足しても困らないページもあります。最初の公開でそろえるページと後から足すページを分けておけば、準備の量はかなり減ります。後から足すページは、担当者と追加する月まで決めておかないと、そのまま足されずに終わります。
分担表より先に一つだけ決めるなら、窓口の1人です。その人の名前を、最初の打ち合わせで制作会社に伝えておきます。制作の相談先を探している段階でしたら、当社のホームページ制作のページで進め方を紹介しています。



