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社内の依頼が抜ける会社へ|電話・口頭・LINEの入口を1つにまとめる方法

この記事の要点

社内の依頼が抜けるのは、受けた人の頭の中にしか依頼が無く、誰が持つかと終わったかが外から見えないからだ。対策は入口を1つにすること。共有の受付表、フォーム、チャットの専用チャンネルのどれでもよく、書く項目は誰から、何を、いつまでに、誰が持つか、今どうなっているかに絞る。電話や口頭で受けた依頼は、受けた人がその場で入口に書く。守られない時は、まず社長自身が口頭で頼むのをやめる。記録が3か月たまると、依頼の偏りと繰り返しが見えてくる。

「あれ、どうなった?」と聞いて、「え、何でしたっけ」と返ってくる。社内の依頼が抜けた時の、よくあるやり取りです。頼んだ側は伝えたつもりで、受けた側は聞いた覚えが薄い。どちらかがいい加減だったというより、依頼の通り道が多すぎることのほうが原因として大きいと考えています。

電話、立ち話、LINE、メール、机に貼られた付箋。小さな会社ほど、依頼はあらゆる所から入ってきます。ここでは、その入口を1つにまとめるやり方を書きます。

依頼が抜ける理由

依頼が抜ける時、たいてい次のどれかが起きています。

一つは、依頼が受けた人の頭の中にしか無いことです。口頭や電話で受けた依頼は、受けた人がどこかに書かない限り、記録がありません。その人が忙しい日や休んだ日に、依頼ごと消えます。

もう一つは、誰が持っているかが決まっていないことです。LINEのグループに「誰か見積もりお願いします」と流すと、全員が読んで、全員が誰かがやるだろうと思います。既読の数は増えますが、手を挙げる人はいません。メールのCCも似ています。宛先に5人並んでいると、読んだ全員が、返事は誰かがするだろうと考えます。

そして、終わったかどうかが外から見えないことです。頼んだ側は、終わったと聞くまで気になり続けます。聞きに行くと、受けた側は催促されたように感じます。これが何度か続くと、頼むこと自体がおっくうになり、社長が自分でやってしまう、という形に落ち着きます。

付箋やメモ用紙は、書いた瞬間は確実です。ただ、机を片づけた日や、別の人の机に貼った日に、所在が分からなくなります。

入口を1つにする方法

直し方は単純で、社内の依頼はここに書く、という場所を1つに決めます。道具は何でも構いません。社員が毎日開いているものに寄せるのがいちばん続きます。

入口向いている会社気をつけること
共有の受付表(スプレッドシート)事務所のパソコンで仕事をする人が多いスマホからだと書きにくい。列を増やしすぎない
フォーム現場に出ている人が多く、スマホで書く送った後の状態が見えにくいので、受付表とつなげる
チャットの専用チャンネル社内ですでにチャットを使っている雑談と混ざると流れる。依頼だけのチャンネルにする

フォームで受けて、答えが自動で受付表にたまるようにしておくと、書く側はスマホで済み、見る側は一覧で追えます。Googleフォームとスプレッドシートならこの形がすぐ作れますし、新しく書き込みがあった時にチャットへ通知を飛ばすこともできます(やり方はフォームの回答をチャットに通知する記事に書きました)。

どの道具でも、書く項目は少なくします。最低限は次の5つです。

  • 誰から
  • 何を
  • いつまでに
  • 誰が持つか
  • 今どうなっているか(受けた、作業中、終わった)

最後の「今どうなっているか」があるかどうかで、入口の役に立ち方がまるで変わります。 これがあれば、頼んだ側は聞きに行かずに済み、受けた側も催促されずに済みます。

左側に電話、吹き出し、封筒、付箋の小さな形が散らばり、そこから伸びる矢印が中央の一枚の表に集まって、表の各行の端に色の違う丸い印が並んでいる図解風のイラスト
散らばった入口を1つの受付表に集めると、誰が持ち、どこまで進んだかが一目で分かる

電話と口頭の依頼は受けた人が書く

入口を決めても、電話や立ち話で頼まれることは無くなりません。無理に無くそうとすると、急ぎの用件まで止まります。

決めておくのは、口頭で受けた依頼は、受けた人がその場で入口に書くということです。頼んだ人に「入口に書いておいてください」と返すと、頼んだ人は書かずに忘れます。受けた側が書き、書いた内容をその場で見せるか、チャットなら頼んだ人の名前を付けて送る。頼んだ人は内容を確かめるだけで済みます。

社外からの電話で社内に回す依頼も、同じ扱いです。電話を取った人が入口に書き、担当者の名前を入れます。担当者が外出していても、戻った時に入口を見れば分かります。

電話の近くには、入口を開いたパソコンかスマホを置いておきます。紙のメモに一度書いてから後で写す、という手順を挟むと、写す前にメモが行方不明になります。写す作業そのものも、忙しい日には後回しにされます。

始める日の段取り

入口を作ったら、始める日を決めて全員に伝えます。来週の月曜から、社内の依頼はこの受付表に書く。伝えるのはこれだけで構いません。説明会を開くより、最初の1件を社長がみんなの前で書いてみせるほうが伝わります。

もう一つ決めておくのが、入口を毎日見る人です。書かれた依頼を誰も見ていなければ、入口はただの箱です。朝と夕方の2回、決めた人が入口を開き、誰が持つかが空いている行に名前を入れます。社長か、事務を担当している人が向いています。週替わりの当番にしてもいいです。

今あるLINEのグループやメールの宛先は、すぐに消さなくて大丈夫です。連絡や雑談には引き続き使い、依頼だけを入口へ移します。LINEに依頼が書かれたら、見た人が入口に写して「受付表に入れました」と返す。これを何度か繰り返すうちに、最初から入口に書く人が増えていきます。急に全部を切り替えようとすると、かえって依頼が行き場を失います。

決めても守られない時

入口を決めてしばらくは、依頼の一部しか入口に来ません。ここで諦めず、守られない理由を見ていきます。

まず疑うのは、社長が口頭で頼んでいないかです。社員は社長を見ています。社長が立ち話で頼んでいるうちは、社員同士も立ち話で頼みます。まず社長が、自分の依頼を全部入口に書くところから始めてください。急ぎの時は口頭で伝えてもよく、その後で自分で入口に書きます。

次に、書く項目が多すぎることがあります。受付表に分類や優先度の列を足したくなりますが、書く側が手間に感じた時点で入口は使われなくなります。最初は5つだけにして、足すのは運用が回ってからにします。

書いても反応が無い、ということもあります。入口に依頼を書いたのに、返事は口頭で来る。これが続くと、書く意味が無くなります。入口に書かれた依頼には、入口の中で「受けました」と返す。これだけで、入口が生きている場所だと伝わります。

入口の場所が遠いこともあります。スマホで仕事をする人にパソコン用の受付表を渡しても、書きません。入口が1つなら、そこへ行く道は複数あって構いません。スマホからはフォーム、事務所ではスプレッドシート、というように、同じ一覧にたどり着く道を用意します。

記録が残ると分かること

入口が1つになって依頼が記録として残り始めると、しばらくして別の使い道が出てきます。3か月ほどたまったら、一度並べて眺めてみてください。

まず、依頼が誰に集中しているかが分かります。特定の一人にばかり依頼が行っているなら、その人が休んだ日に何が止まるかも同時に見えます。

次に、同じ依頼の繰り返しが見えます。毎月同じ時期に同じ書類を頼んでいるなら、それは依頼ではなく決まった業務です。手順書にするか、自動にできないかを考える候補になります。

時間がかかっている依頼も見えます。受けてから終わるまで長い依頼は、たいてい途中で誰かの確認を待っています。どこで待っているかが分かれば、確認の順番を入れ替えるだけで早くなることがあります。

そして、抜けた依頼の数が分かります。入口を作る前は、抜けていること自体が見えませんでした。「今どうなっているか」が「受けた」のまま止まっている行を月に一度拾うだけで、抜けそうな依頼を先に見つけられます。

気をつけたいのは、この記録を人を責める材料に使わないことです。終わるのが遅い行を名指しで指摘すると、次からは難しい依頼ほど入口に書かれなくなり、また頭の中と口頭に戻ります。記録は仕事の流れを直すために見るもの。そう決めて、社員にも最初に伝えておきます。

受付表の最初の1行は、社長自身の依頼で書いてみてください。フォームとのつなぎ方まで含めて整えたい場合は、DX推進・伴走支援で相談を受けています。

よくある質問

社内の依頼はなぜ抜けるのですか?
依頼が受けた人の頭の中や個人のLINEにしか無く、誰が持っているか、終わったかが外から見えないからです。受けた人が忘れたり休んだりした時点で、その依頼は誰にも見えなくなります。
入口はどの道具で作ればいいですか?
社員全員が毎日開いているものに寄せるのが基本です。パソコン中心なら共有の受付表、スマホ中心ならフォームかチャットの専用チャンネルが向いています。道具より、入口を1つに決めることのほうが大事です。
電話や口頭で頼まれた依頼はどうしますか?
受けた人が、その場で入口に書きます。頼んだ人に書き直してもらうのではなく、受けた側が書くと決めておくと、口頭の依頼も抜けずに残ります。
入口を決めても社員が使ってくれない時は?
まず社長自身が口頭で頼むのをやめます。そのうえで、書く項目を減らし、入口に書かれた依頼には入口の中で返事をします。書いても反応が無い入口は、すぐに使われなくなります。

この記事を書いた人

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芦刈 庸介

株式会社NewBeginnings 代表取締役

大分県出身。フリーランスを経て、2026年3月1日に株式会社NewBeginningsを設立。ホームページ制作、アプリ・業務システム開発、DX推進・伴走支援を、代表みずから手を動かして行っています。

芦刈 庸介の X(旧Twitter)

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