「会社を作ろうと思うけれど、開業資金の相談ってどこに行けばいいんですか」。大分で創業される方から、いちばん多くいただく質問です。銀行なのか、日本政策金融公庫なのか、それとも市役所なのか。名前は聞いたことがあっても、どこが何をしてくれるのかが分からない、という状態です。
結論から言うと、相談先は大きく3つです。そして、その3つに行く前にやっておくと条件がよくなる手続きがあります。この記事では、大分市で創業する場合を例に、動く順番で整理します。金額や条件はすべて公式ページから引いています(記事末に出典リンク)。
相談先は3つ。役割がぜんぶ違う
| 相談先 | 何のお金か | どこに行くか |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 借りるお金(返す) | 公庫の支店に直接 |
| 大分県の制度融資 | 借りるお金(返す) | 指定金融機関・商工会議所・商工会 |
| 大分市の補助金 | 返さなくていいお金 | 大分市役所(創業経営支援課) |
混同されがちですが、融資(借りる)と補助金(返さない)はまったく別物です。補助金は原則あとから戻るお金なので、開業時の資金そのものは融資で用意するのが基本になります。

その前に:「特定創業支援等事業の証明書」で条件が変わる
見落とされがちですが、いちばん最初に取りにいく価値があるのがこれです。大分市の「特定創業支援等事業による支援」を受けて証明書をもらうと、そのあとの融資も補助金も条件が変わります。
対象になるのは、いま事業を営んでおらず6か月以内の創業を予定している個人、創業から5年を経過していない個人事業主、創業から5年を経過していない法人代表者です。「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4つの知識が身につく支援を受けることが条件になります。
証明書があると、大分市の公式ページには次の優遇が挙げられています。
- 登録免許税の軽減(会社を設立するときの登記費用が軽くなる)
- 創業関連保証の特例=創業6か月前から利用できる(通常は創業2か月前から)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の貸与利率引き下げ
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>の申請対象になる
申請窓口は大分市役所 本庁舎9階の創業経営支援課で、オンライン申請フォームもあります(代理申請は不可)。証明書の発行にかかる期間は約5営業日程度とされています。ただし軽減率や利率の引き下げ幅までは公式ページに書かれていないため、金額の話は窓口で確認してください。
①日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
創業融資の代表格です。対象は「新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方」。ただし、適正な事業計画を策定していて、それを実行できる力があると認められる方に限られます。つまり計画書の中身が問われます。
- 融資限度額:7,200万円(設備資金・運転資金の区別なし)
- 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は10年以内(どちらも据置期間5年以内)
- 利率:基準利率。ただし要件に当てはまると特別利率A・B・Cが適用される
- 担保・保証人:希望を聞きながら相談する形
特別利率の対象には、女性・若年層・シニアの方、認定創業支援を受けた方、過疎地域で事業を始める方などが挙げられています。前の章の証明書がここで効いてきます。なお具体的な利率は変動するため公式ページには載っていません。支店で確認してください。
「据置期間」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、元金の返済を待ってもらえる期間のことです。売上が立つまでの数か月〜数年を利息だけで乗り切れるかどうかは、創業期の資金繰りを大きく左右します。
②大分県の制度融資|窓口は銀行や商工会議所
「県から借りる」と思われがちですが、そうではありません。仕組みはこうです。県が貸付の原資の一部を指定金融機関に預けておき、金融機関がそこに自分の資金を足して融資します。審査は金融機関と信用保証協会が行い、融資の条件は県が定めたものになります。
つまり、行き先は県庁ではなく銀行です。申込みの窓口は、指定金融機関、商工会議所・商工会(組合の共同事業に係る融資の場合は中小企業団体中央会)とされています。取引したい金融機関がすでにあるなら、そこに「県の制度融資を使いたい」と伝えるのが早道です。
県の令和8年度の要綱・要領には「創業支援資金」というメニューが掲載されています。ただし融資限度額・期間・利率といった条件は年度ごとに改定されるため、この記事では具体的な数字を書きません。最新の条件は県の要綱・要領と、実際に申し込む金融機関で確認してください。制度そのものについては、大分県 経営創造・金融課(電話 097-506-3226)が問い合わせ先です。
③大分市創業者応援事業補助金|返さなくていいお金(上限120万円)
こちらは融資ではなく補助金です。創業予定の方、または創業から5年未満の方が対象で、補助率は2分の1以内、女性・若者・シニアは3分の2以内。上限は120万円です。
対象になる経費は、事業所の賃借料(敷金・礼金・駐車場費等は除く)、外装・内装・設備の改修費用、法人登記等にかかる経費、そして広告宣伝費・パンフレット作製費・ホームページ製作費といった販売促進費です。開業時に必ずかかるものが、ひととおり入っています。
募集期間は令和8年4月14日(火)から12月15日(火)まで。毎月第3火曜日までに申請を終えると翌月上旬に審査されます。そして条件がひとつ、前の章で触れた「特定創業支援等事業による支援」を受けて、申請年度の3月31日までに大分市から証明書の交付を受けていることです。ここが抜けていると、そもそも申請できません。
大分市で創業するなら、この順番で動く
- 大分市の「特定創業支援等事業」を受けて証明書をもらう。証明書の発行自体は約5営業日だが、支援を受けること自体に時間がかかるので、いちばん先に動く
- 事業計画を作る。公庫が「適正な事業計画」を求めているとおり、ここが融資の中身そのもの
- 日本政策金融公庫、または取引したい金融機関(県の制度融資)に相談する。証明書があれば条件面で効いてくる
- 大分市創業者応援事業補助金を申請する。あとから戻るお金なので、開業資金そのものは1〜3で用意しておく
たとえば大分市で飲食店を開こうという方なら、まず証明書を取りにいき、内装工事と当面の運転資金を公庫か制度融資で用意し、内装費やホームページの費用を創業者応援事業補助金で取り戻す、という流れになります。
まとめ:迷ったら、まず市役所の創業経営支援課へ
融資は公庫か金融機関、補助金は市役所。そして全部の入口になるのが「特定創業支援等事業の証明書」です。どこから手をつけるか迷ったら、大分市役所の創業経営支援課に行くのがいちばん近道になります。銀行に行く前に条件を良くしておける、という順番だけ覚えて帰ってください。
当社は融資や補助金の申請代行を行う会社ではありません(融資の可否や採択を保証することもできません)。ただ、創業者応援事業補助金の対象経費にはホームページ製作費が入っています。「開業に合わせてホームページも用意したい」という段階でしたら、費用感やスケジュールの整理はお手伝いできます。お気軽にご相談ください。
この記事の出典(公式)
- 日本政策金融公庫:新規開業・スタートアップ支援資金
- 大分県:大分県制度融資(県制度資金)の概要
- 大分県:令和8年度 県制度資金の要綱・要領
- 大分市:「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」をご存じですか?
- 大分市:大分市創業者応援事業補助金の募集についてお知らせします(令和8年度)
※本記事の内容は2026年7月15日時点で各公式ページに掲載されていた情報にもとづきます。融資条件・制度の内容・期間は変更されることがあります。申込み前に必ず公式ページと各窓口でご確認ください。


